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白土三平『カムイ伝13 旋渦の巻』(小学館)(1968/11/10)


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もくじはこちら

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第一章 蔵六陣

 鮫殺し

  サエサはクシロに助けられた。カムイが縛られた十字架は岸に流れ着いていたがカムイの姿はない。

  クシロは漁民に頼まれ鮫を退治に向かうが鯨が現れ船が壊された。それでも「いつかきっとしとめてやすぜ!!」とクシロは闘志を燃やす。

 

 蔵六陣

  城代が亀に餌をやっている。手風が亀を捕らえようとしたらその術を封じたのは鏡隼人だった。鏡隼人は「ムクゲ谷ヘドロの岩に来るように」と手風に言って消えた。

  江戸屋敷の亀と日置藩の亀の甲羅を開けると「風鳴り(ちぎなり)に眠れる六蔵のうちに有りて日を仰げば乱(あや)立ちぬ」という文字が読めた。

  風鳴の谷に向かった手風と鏡隼人。空中から地上を見て六個の岩を亀と見立てて蔵六陣としその中心にあった道祖神の表面の岩が崩れると蔵六神と書いてあった。

  カムイと手風の戦いが始まった。激しい戦いで手風の影は全滅した。そしてカムイはそこにあった書類を手風に見せる。それによると徳川家康は賤民出身だった。これが知れ渡ったら士農工商の身分制度が根底から崩れる。

  そしてこの秘密を知った手風やカムイは生きていけない。手風の影達が息を吹き返した。カムイは薬で眠らせただけで殺してなかったのだ。秘密を知った影達は恐れおののき逃げようとする。手風が影達を殺した!

  手風の膝が崩れた。

 

[感想]

 ついに日置藩の秘密が解明された。なんと徳川家康が賤民出身だったのだ!!これが世の中に広まれば厳しい身分制度の根幹が崩れる。だから幕府は日置藩に特別な態度だったのだ。

 それにしてもカムイはどうやってあの逆さ十字架から脱出したのだろう?

 

第二章 川ガラス

 川ガラス

  日置藩士の遠藤久蔵、山形四郎兵衛ら3人が江戸で編み笠の浪人に斬り殺された。  

  両国中洲で芸を披露する小屋をやっている乞食の支配頭仁太夫(ツブテ)の所に編み笠の浪人笹一角が現れた。

  江戸には水無月右近とアテナも来ていた。松林剣風と会った二人は連れ立って歩いていく。それを陰から見ていたのは笹一角だった。

  小さな女の子を連れた老人武士。食い逃げされると恐れた食堂の亭主は先に金を払えと言う。老人は出て行く。スリが逃げて行き老人とすれ違った!その瞬間老人はスリの手を斬っていた。それを見た日置藩士は江戸屋敷へ老人を連れて行った。老人は元薩摩藩士堂面六佐と名乗った。彼は薩摩藩を追われ奉公構えにあっていたが孫娘のスミのために日置藩に士官することにした。

  鉄人流道場ではアテナが稽古していた。笹一角のことを思い心が晴れない彼女だが水無月右近と散歩に出て日置藩江戸屋敷前の乞食が笹一角だと知る。しかし彼を邪魔することになるのでアテナは何もしない。

  笹一角は日置藩士目当てに辻斬りする。しかし堂面六佐と対決し右人差し指を斬られてしまった!

 

第三章 傀儡(くぐつ)

 川ガラス

  笹一角の絶対絶命のピンチを救ったのは松林剣風と仲間達だった。鉄人流道場で笹一角はアテナとも会った。道満や剣風の仲間に加わらないかと誘われた笹一角だが断った。

  道満一派がとうとう反乱を起こした!しかし道満は実は松平伊豆守とつながっていて、道満とともに立った浪人達は次々と殺された!道満は寺に逃げ坊主となったがアテナによって殺された。水無月右近のカンは当たった。由井正雪の乱の時も道満一派が実は幕府とつながっていて反乱を起こさせた後鎮圧したのだった。

  日置藩主は水戸光圀に呼ばれ水戸に向かっていた。笹一角は利根川の渡しで水中から日置藩主を刺した!

  日置藩主が死んだかどうか発表がないため笹一角は日置藩江戸屋敷に出向く。堂面と対決する笹一角は、顔を傷だらけにして草加竜之進と名乗った。

 

 傀儡

  カサグレと一緒の橘一馬はひもじい思いをして、こそ泥をして漁師達に囲まれた。役人が来たのでその場は脱したが、力ある者が全てを得ることを身をもって学んだ。  

  そして橘一馬は橘玄蕃と戦う。戦いが佳境に入り玄蕃が危険な状態になったときカサグレが止めた。実は全て橘玄蕃が一馬を教育するために仕組んだことだったのだ。カサグレを師と呼ぶ一馬は挨拶をして帰ろうとしたときカサグレが斬りかかった。一馬はかわしたが、玄蕃がカサグレに銃を撃ち致命傷を負わせた。

  無人流(むにりゅう)を継ぐのは橘玄蕃と橘一馬の二人だけ、カサグレは非人ゆえに師と呼ぶ必要はない、と橘玄蕃は話して一馬とともに去って行く・・・

  大木の下で草加竜之進はカサグレと話す。カサグレは、自分が教えた人は自分の傀儡だと話し死ぬ。草加竜之進は自分は傀儡にはならない、と決意しカサグレの遺体を運ぶ。

  多くの仲間の先頭に立ち、草加竜之進が馬で疾走する。

  

[感想]

 笹一角は藩主を殺したが、状況がわからないため江戸屋敷に出向き草加竜之進と名乗る。なぜ彼は竜之進と名乗ったのだろう。道満が実は幕府と結んでいたのには驚いた。 

 カサグレが死んで橘一馬がまた表舞台に戻ってきた。

 草加竜之進が率いている仲間達は一体誰だろう?乗馬しているから百姓や非人ではないことだけは確かだ。彼らの目的は何だろう?日置藩の謎は解けたが登場人物達がこの後どういう行動をとりどんな運命が待っているか楽しみだ。

 

第四章 木の間党

 木の間党

  大蔵屋の正体を探っていた赤目は、大蔵屋が実は三井の隠し番頭であることを突き止めた。夢屋は「あわてることはない。せいぜいお手並み拝見といくか。」と言って船で去って行った。

  日置藩の山々は、材木商多仁屋が百姓達を夫役として動員して大量の木を切って山を丸裸にしていた。しかも非人達に監視をさせていた。

  橘軍太夫と橘玄蕃と大蔵屋が会話している。大蔵屋は表に立たずに多仁屋に任せることで人々の不満を受けないようにしていた。

  橘一馬は居酒屋で浪人達と喧嘩し浪人達をやっつけてしまった。

  大蔵屋が「それにしても多仁屋は遅いな。」と言う。

  多仁屋に木の間党と称する泥棒が入り金を持って行った。木の間党はそのまま農村に行き多仁屋から奪った金を皆に配っていた。木の間党の首領は銭を左目に眼帯にした男だった。雰囲気は草加竜之進に似ている。

  左卜伝とサエサのもとに編み笠で何やら指令が伝えられた。

  木の間党の首領はやはり草加竜之進だった。木の間党はもともとは日置領内にいた豪族だった。単なる野盗の群れではない。竜之進は女をさらってきた者達を掟違反ということで斬った。

  橘一馬は彦六とアヤという百姓が愛し合っているところを邪魔してアヤを手に入れた。目付の力でその村は夫役を免除された。

  そして橘一馬と仲間達はその村で好き放題していた。それを知った木の間党がその村に突入した。だが、それは橘玄蕃と橘一馬による罠だった。草加竜之進は前後を二人に挟まれてしまった。そして竜之進は気を失って倒れた。一馬は竜之進を責めて情報を吐かせるために殺さなかったのだ。

  木の伐採は進む。「おそるべき事態がこくこくとせまりつつあったのだ」というナレーションで終わる。

 

[感想]

 草加竜之進は木の間党に入り義賊となった。だが、橘玄蕃と橘一馬の罠にはまり捕らわれてしまった。日置藩の謎を知ったカムイと手風はどこに消えたのだろう?抜忍になってもう登場しないのだろうか?次巻も楽しみだ。