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大和田 尚孝 『システム統合の「正攻法」 世界最大6000人プロジェクト、三菱東京UFJ銀行「Day2」に学ぶ』日経BP (2009/11/19)

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 この本は、三菱東京UFJ銀行の統合プロジェクトについて、日経コンピュータがまとめたものである。

本書を読んでも、このプロジェクトのすごさは、あまりわからない。NHKの『プロジェクトX』のような危機が訪れたり、ドラマ性が描かれていないのだ。

 一般読者としては、山場に欠け、おもしろみのない物になっている。エンジニアとしては、新技術へのチャレンジの無い盛り上がりに欠けた物になっている。経営者やPMにとっては、あのビッグ・プロジェクトを成功させた秘密が読み取れない本である。

 なぜなら、このプロジェクトのすごさは、タイトルにあるとおり、「当たり前のこと=正攻法」を「当たり前」に、着実に、実施したからだ。

 三菱東京UFJ銀行は、危機が訪れたりドラマになるようなことが起こらないように、体制を整え、スケジュールを立て、チームを作り、リスク管理を行い、進捗を管理し、問題点が小さいうちに識別し、対策を立て、解決していったからだ。

 経営者やPMとしては、もう少しつっこんで、このプロジェクトの凄さを知りたいところだ。例えば、機密情報になるので見せてもらえないのだろうが、議事録や使ったフォームや進捗管理結果などを見てみたい。

 雑誌記者の立場でももう一歩、つっこんだ取材をして、このプロジェクトのすばらしさを描き出して欲しかった。