小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』講談社(2021/04/20)を読んでみた。
もくじは次のとおり。
生物によっていろいろな死に方があるのは驚いた。昆虫やサケなどは子孫を残すとすぐ死ぬ。昆虫やサケも、子孫を残すとヒトのように老化して死ぬのかと思ったがどうもそうではないらしい。ベニクラゲは若返るらしい。
老化は55歳くらいから始まるというのも驚いた。もっと早いと思ったが意外だった。
老化するとサイトカインという物質を放出しやすくなり、それは炎症を起こしたり長引かせるそうだ。
テロメアというDNAの部分を元に戻せば長生きできると思っていたが、どうもそう単純ではないらしい。生物は本当に精巧で複雑だ。
p.121に下図があった。平均寿命だとわかりにくいがこれだとわかりやすい。
少なめの食事だと長生きできるのは動物実験でも証明されているようだ。
糖尿病の薬メトホルミンと免疫抑制剤のラパマイシンは、酵母、線虫、ハエでは、寿命を延ばす効果があるらしい。ヒトの場合、どうかはわからない。
生物は必ず死ぬが、なぜ死ぬのか、現時点ではわからない。ただ死のプログラムを持っている生物が環境に適応し生き延びて数を増やしたから現在の地球の生物相になっていることは確かだ。
必ず迎える死について、宗教的、哲学的な側面だけではなく、生物的な側面から考えるために本書は一読の価値がある。