手塚治虫最期の作品だ。
『ファウスト』を下地にしたオリジナル作品だ。
学生紛争が盛んだった頃、ミイラのように学問に集中する一ノ関教授。
彼の助手の坂根第一。
一ノ関教授は宇宙の真理を知るために悪魔と契約する。
タイムスリップ中に、1958年4月1日に戻り、自分が一ノ関教授だった記憶を失い、坂根第造を助けた縁で坂根第一となり、第造の会社で働き始める。
第造の後を継ぎ、莫大な経済力を手に入れる。
そして学生運動に参加している高田まり子に恋をする。彼女の兄は学生運動を取り締まる刑事だった。
彼は財力にまかせて一ノ関教授が勤めていたNG大学をのっとる。
一ノ関教授が悪魔を呼び出し、一ノ関教授か坂根が死ぬことになり、坂根が生き残る。
ここで第一部が終わり、第二部は、第一部の十数年後。アメリカに行った坂根改め一ノ関第一が大成功し日本に帰国する。まり子は第一の子を産むが精神を病んでしまっていた。
これから物語が進む、というところで、手塚治虫が亡くなり、この物語は未完で終わった。
手塚治虫にとって、『ファウスト』は特に思い入れのある作品なだけに、この後どういう展開にするつもりだったのか、とても興味がある。
それだけに手塚治虫の早逝が残念だ。