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手塚治虫『ネオ・ファウスト』朝日新聞社(1989/04/25)


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手塚治虫最期の作品だ。

ファウスト』を下地にしたオリジナル作品だ。

学生紛争が盛んだった頃、ミイラのように学問に集中する一ノ関教授。

彼の助手の坂根第一。

一ノ関教授は宇宙の真理を知るために悪魔と契約する。

タイムスリップ中に、1958年4月1日に戻り、自分が一ノ関教授だった記憶を失い、坂根第造を助けた縁で坂根第一となり、第造の会社で働き始める。

第造の後を継ぎ、莫大な経済力を手に入れる。

そして学生運動に参加している高田まり子に恋をする。彼女の兄は学生運動を取り締まる刑事だった。

 

彼は財力にまかせて一ノ関教授が勤めていたNG大学をのっとる。

 

一ノ関教授が悪魔を呼び出し、一ノ関教授か坂根が死ぬことになり、坂根が生き残る。

 

ここで第一部が終わり、第二部は、第一部の十数年後。アメリカに行った坂根改め一ノ関第一が大成功し日本に帰国する。まり子は第一の子を産むが精神を病んでしまっていた。

これから物語が進む、というところで、手塚治虫が亡くなり、この物語は未完で終わった。

 

手塚治虫にとって、『ファウスト』は特に思い入れのある作品なだけに、この後どういう展開にするつもりだったのか、とても興味がある。

 

それだけに手塚治虫の早逝が残念だ。