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さいとう・たかを『ゴルゴ13 206 Gの遺伝子』(リイド社)(2022/09/19)




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『Gの遺伝子』(2016/05作品)(脚本協力 夏緑)

ページ数:139

依頼者:なし

ターゲット:なし

依頼金額:なし

狙撃場所:1)パリ郊外廃ワイナリー

 2)バー「ハンガリー狂詩曲」

 3)シリコンバレーのとあるIT企業(実はNSA支局)

殺害人数・相手:1)3人(NSA要員) 

 2)2人以上(賊、ファネットの実の母ヘゲドゥシュ・スザナ)

 3)マクレラン局長

H:1人(ヘゲドゥシュ・スザナ)

 

フランス パリ私立サン・リュカ中学校の「聖なる怪物」ファネット・ゴベールはライフル、体操、柔道、スカッシュ、テニスで才能を発揮している。また、知能指数180でバカロレアに合格、ピアノも凄い。

 

絵も凄いがその絵はゴルゴ13のロゴに似たものだった。

ファネットが描いた『ゴルゴダの呼び声』
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ゴルゴ13のロゴ
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ゴルゴ13は新聞でファネットの絵を見てモンマルトルの丘美術館を訪れ実物を見た。

 

ファネットはパリ郊外のジャン・ミッシェル・ロベール病院長の家にいる。彼女は忘れているが10年前銃で撃たれて生死の境をさ迷ったのだ。そのトラウマからか銃に興味があるのだ。

 

ある晩、家に入ろうとする賊を見つけたファネットは競技用銃で賊の耳を狙撃し追い払った。

 

アメリカ シリコンバレーにあるIT企業アラクネット社はゴシップ記事専門の配信会社だ。一方、アメリカ国家安全保障局(NSA)が立ち上げたPRISMシステム管制局の隠れ蓑でもある。マクレラン局長がカーク局長のもとを訪れた。カークがファネットの写真と記事を見つけゴルゴ13の娘の可能性を示唆する。

ファネットは4歳でジャン・ミッシェル・ゴベールとイレーヌ・ゴベールの養女になったのだ。

 

前夜、賊を撃ったことで初めて恐怖と緊張からの解放を味わっていた。またいつも見ていた夢が記憶に基づいたものと確信を持ち始めていた。

 

ファネットは自分を知るために、モンマルトル西南部の繁華街に向かう。

そこに貼ってあったポスターに、バー「ハンガリー狂詩曲」と書いてあった。店長がアルトゥール・セル。バイオリン弾きのヘゲドゥシュ・スザナはファネットと同じ涙ボクロがあった。

10年前に不法移民同士の小競り合いで銃撃戦になりセルもそこにいた女達も皆殺しになった。

 

そこにスーツ姿の男たちが現れた。ファネットは危険を察知し逃げ出した。

男たちは麻酔銃を使い攻撃してきた。ファネットは競技用銃で一人を殺害したが、ガス弾で眠らされてしまった。

 

ファネットが帰らないことを心配するイレーヌとジャン。そこにゴルゴ13がやってきてファネットの居場所をきく。ファネットは昔はジャネットという名前だったが養女になったときに名前を変えたのだ。

ファネットを連れてきたのはゴルゴ13だったのだ。

 

ファネットは廃ワイナリーに監禁されていた。

 

監禁したのはカークだった。

ファネットのDNAとCIAが持っていた14個のゴルゴ13のDNAが一致した。

喜ぶカークとマクレラン。

 

ファネットは脱走し敵の銃を奪い銃撃戦になった。

そこへゴルゴ13が登場し、3人を射殺した。

 

ファネットを救い出したゴルゴ13はファネットに輸血もしていた。その血液中にあった幹細胞がゴルゴ13の遺伝子を持つ血液を作り続けていたのだ。

 

ゴルゴ13はファネットの実母の遺品のバイオリンを彼女に渡し去って行った。

 

シリコンバレーにある、とあるIT企業(実はNSA支部)で自殺に見せかけマクレランがカークを殺した。

その一部始終を見ていたゴルゴ13によってマクレランも殺された!

 

ゴルゴ13に娘がいるかもしれない、ということで連載中、続きを読むのが楽しみだった作品だ。

残念ながらファネットはゴルゴ13の子どもではなかったが、これがきっかけでスピンオフ作品も作られた。

 

 

 


『置き去りの街』(2016/02作品)(脚本協力 ながいみちのり)

ページ数:35

依頼者:マーロンの恋人だったがケビンの妻になったリタ

ターゲット:マーロンに罪をなすりつけた、兄ケビン

依頼金額:不明(アタッシュケース1箱の現金)

狙撃場所:マイアミ州リトルサンシャイン通称ゲートシティの丘

殺害人数:1人(マーロンに罪をなすりつけた、兄ケビン)

 

7年の刑期を終え出所してきたマーロンが訪れたのはマイアミ、デート郡の寂れたレストラン。

マーロンはリタと兄ケビンを訪ねようとしたがレストランのマスター、ローディ爺さんに止められる。

リタがケビンの妻になり、デート郡から金持ちが住む地域が独立したサンシャインシティに移り住んだのだった。

ケビンに雇われたチンピラ2人がローディ爺さんによって返り討ちになったがローディ爺さんも死んでしまった。

 

ケビンがゴルゴ13によって眉間を撃ち抜かれて死んだ。

 

仕事を終えたゴルゴ13が引き揚げるときの回想シーンで、依頼者がリタ、ケビンがマーロンに罪をなすりつけたことが語られる。

 

断崖絶壁の上から海上の夕焼けを眺めるマーロン。そこにやってきたリタ。

リタがマーロンに駆け寄るとマーロンは彼女をナイフで刺し崖から飛び降りる・・・

 

火曜サスペンス劇場か土曜ワイド劇場のようなラストだ。

アメリカで富裕層が住む町が、元の所属する郡部から独立する動きが広がっているというのは初めて知った。

そうなると残された町は税収が減り住民サービスが不十分になる。それがこの話のタイトル『置き去りの街』なのだ。

なかなか難しい問題だ。

 

 

 

 

『地獄のダンサー』(2015/10作品)(脚本協力 静夢)

ページ数:71

依頼者:セルビア人傭兵部隊隊長ボルゴビッチ

ターゲット:元クロアチアの狙撃兵「地獄のダンサー」 ケンドルトン社債ファンドマネージャー ジェーン・ペトロビッチ

依頼金額:不明

狙撃場所:日本 皇居近くの上空を飛ぶ飛行船

殺害人数・相手:1人(元クロアチアの狙撃兵「地獄のダンサー」 ケンドルトン社債ファンドマネージャー ジェーン・ペトロビッチ)

 

1995年 ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の最中、セルビア人兵士を26人以上狙撃していた女スナイパーがいた。彼女は「地獄のダンサー」と呼ばれていた。

部下を多数殺されたセルビア人ボルゴビッチは総攻撃をかけた。

 

そして2015年。ケンドルトン社の債権ファンドマネージャーのジェーン・ペトロビッチは、価格が下がっているが高い潜在能力を持つ国の国債で大きな利益を得ていた。

彼女の次の目標はウクライナだ。

 

ウクライナに欧州安保協力機構(OSCE)の停戦監視団の一員として、セルビア人傭兵部隊ボルゴビッチ率いる部隊が入った。

停戦監視団は親ロシア部隊の攻撃を受けても反撃が許されなかった。

ボルゴビッチはふとテレビでジェーンを見て彼女が「地獄のダンサー」と見抜き、弟マルコや部下の仇をとろうとゴルゴ13に依頼した。

 

その後親ロシア部隊の攻撃を受け全滅した。

OSCEは攻撃を受けたのが傭兵部隊だったことをいいことに放置した。抗議すれば再び紛争状態にするのがロシアのシナリオだからだ。

 

ウクライナがデフォルトを起こすと大損害を被るジェーンは、日本をターゲットにする。

 

日本をターゲットにしたジェーンは日本を訪れた。

 

日本の財務大臣高津や日銀総裁黒沢はジェーンの日本国債売りによる市場パニックを止めに入る。高津がゴルゴ13に会いジェーン狙撃を依頼するが断られる。

 

そしてジェーンは眉間を狙撃された!

 

最後のコマには皇居と空飛ぶ飛行船が描かれていた。

 

ロシアによるウクライナ侵攻は2014年に始まっていた。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、ロシアによるウクライナ侵攻と、日本の国債と超低金利。一見、無関係な事柄をつなぎ合わせてドラマとしてうまくまとめ上げている。