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さいとう・たかを『ゴルゴ13』第633話『悪徳の彼方』(『ビッグコミック』2023/09/25号, 10/10号, 10/25号, 11/10号, 11/25号)

2023/09/25号 Kindle版

2023/09/25号 紙版

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『悪徳の彼方』(2023/08作品)(脚本協力 静夢) (『ビッグコミック』2023/09/25号, 10/10号, 10/25号, 11/10号, 11/25号)

 

依頼者:フラレスタ財団 柴田

ターゲット:銀英会会長 近藤 

  銀英会組員 亀井

依頼金額:不明

殺害場所:日本

殺害人数・相手:銀英会会長 近藤

        銀英会組員 亀井

 

全5回の長編作品だ。

連載時に読んでも全体構成がよくわからなかった。

あらためて全編を通して読んでようやく全てがつながった。

年金問題やホスト問題や詐欺など日本の諸問題をまとめて解説している異色作だ。

 

従来のヤクザのやり方と、投資詐欺のやり方の違いも見所だ。

 

かなり前の方でゴルゴ13が登場するが、その後現れない。

どこでどうゴルゴ13と絡むのか期待させつつなかなか登場しない。

 

全200ページの長編だが、単行本化するときはこれだけで1巻になるのだろうか

 

前編(2023/09/25号) (40ページ)

Part1地球の肺を救え

東京でフラレスタ財団のセミナーに参加する杉野友美。フラレスタ財団は地球温暖化防止のための財団だ。

 

Part2 苛立つ日常

一週間前の杉野友美の家。老後資金に2000万円必要とテレビ番組から流れてくる。夫と犬の生活だ。

 

Part3 別世界への扉

スーパーマーケットで働く杉野友美。そこで地球温暖化防止の投資セミナーに誘われる。

 

Part4 素晴らしい社会事業

フラレスタ財団のセミナーの場面。CO2排出権を原資にして売却益を販売し毎月1%の利益を上げる。ネズミ講ではないか、と質問が出るが、そうでhないと否定する。友達紹介時に0.3%のコミッションがつく。

 

Part5 最初の一歩

杉野友美は100万円をおろしてフラレスタ財団に入金する。

 

Part6 見いだされた名優

3年前。下北沢の劇場。そこにフラレスタ財団のセミナーで説明していた落合がいた。彼の劇団は赤字続きだった。酔いどれて商店街の店先で眠っている落合に、声をかけてきた男がいた。

 

Part7 転落の始まり

30年近く前。

新聞配達をしている柴田に対して先輩が、CD1枚に百科事典5冊分のデータが入った商品を3万円で売るという仕事を紹介してきた。柴田は、Part6で落合に近づいてきた男のようだ。

しかし柴田は売れず先輩にCDを引き取ってもらい返済を迫るが断られ、殴られる。

 

Part8 騙される奴が悪い

現在

東京のバーのカウンター

Part7で登場した先輩らしき男が赤井部長と呼ばれており、空っぽのCDを使った詐欺話をしている。

その二人組の隣でゴルゴ13が呑んでいる。こんな早くにゴルゴ13が登場するのは珍しい。

「騙す者にはカネが目当てではなく、騙す快楽に溺れる者がいる。快楽に溺れる者は刺激を求めて行動をエスカレートさせる。いずれ、奴は墓穴を掘り、派手に転落することだろう。」とゴルゴ13は長いセリフをしゃべってグラスを飲み干す。

 

中編1(2023/10/10号) (40ページ)

Part1復讐するには・・・

前編Part7の続き

借金を返せない柴田はサラ金の事務所で殴られ腎臓を売るように脅される。彼の借金を肩代わりする男(川口正幸)が、落合同様の若者を集めて「裕福な年寄りからカネを巻き上げることの何が悪い?」と扇動する。

 

Part2筋書き通りの罠

落合は犬の散歩をする老婆に懐に潜り込み身元保証人になってもらう。

老婆の元に柴田の借金を肩代わりした男(川口正幸)がやってきて、柴田が手形詐欺に引っかかったので、彼を助けるために損害補填してもらえないかと頼み込む。さもないと懲戒解雇となるという。

劇中では描写がないがおそらく老婆はカネを払い、柴田は消えたのだろう。

 

Part3 奈落の底

半年後

川口がつかまり、柴田は5人の老婆を騙した詐欺罪で逮捕され懲役1年6ヶ月、執行猶予3年となった。喧嘩沙汰で執行猶予が取り消され刑務所に入り、亀井という男と出会い、詐欺を徹底的に研究することになる。

 

Part4 増していく信頼感

現在

杉野友美は銀行でフラレスタ財団から出金できることを確認して安心感を得られた。

その裏で柴田が「客の猜疑心を取り払うために気持ちよく出金に応じることが大事だ。」と亀井に説明する。

 

Part5 予期せぬ勘違い

バーのカウンターで落合と呑む柴田。柴田が落合に札束を渡す。そこに役者志望の絵里という女が現れ、自分の演技を見てくれないか、と頼む。

 

Part6 豊かさの実感

フラレスタ財団のサイトを見る杉野友美。

フラレスタ財団のオフィスで「成功の秘訣は(中略)毎月配当を出して豊かさを実感させることだ。」と柴田は亀井に説明する。

そして、セミナーで違反してないって言ってたことは全面的にアウトだ、と笑う。

 

Part7 優しい気持ち

杉野友美は夫と寿司屋で食事しながら、フラレスタ財団に投資して月に1%も配当がつくこと、3ヶ月で308万円になったことを説明し、老後2000万円問題を自分が解決する、と胸を張る。

 

Part8 順調な成長軌道

フラレスタ財団のオフィスに入る亀井。

亀井に上納金を2倍の2%にしろ、と催促が来ている。

柴田は本当は180億円集まっているが、120億円集まっていると嘘の報告をし1%の1.2億円を上納していた。

柴田は、「フラレスタは皆が夢から覚めない限り倒れない。永遠に換金されない。」と豪語する。1.5%で勘弁してくれ、と亀井に頼む。

 

Part9 別世界の住人

杉野友美は、フラレスタ財団に誘ったパート仲間の恵子とともにビジネスサークルのリーダー角田静香と会い会食する。別世界であることに驚いた。

恵子はフラレスタに友達を紹介し月に30万も稼いでいるという。

杉野友美はパート仲間の友美子にフラレスタ財団を知っているか、ときいてみるが、「もう、あちら側の人間になっちゃったのね。」と言われ、断られる。

 

中編1(2023/10/25号) (40ページ)

Part1信じる者は・・・

柴田は新潟の山村の寺で座禅している。

どうやらその寺を柴田が引き継ごうとしているようだ。

なぜ新潟の山村の寺なのか?

 

Part2 魅惑の別世界

杉野友美はパート仲間の恵子と共に出かける。

 

Part3 周到な準備

柴田と亀井が四ッ谷の居酒屋のカウンターで呑んでいる。

フラレスタ財団を始めて3年

今の台本で落合の演技では、大阪でやっても大阪では受けない、と柴田は大阪ではやらない理由を亀井に解説する。

また、詐欺は不満を抱いた関係者からのタレコミで摘発されるから関係者を最小限に抑えることが鉄則だ。柴田は銀英会に寄りつかないし。落合は柴田にしか会わないようにしていると亀井に解説する。

 

Part4 仕掛けられた罠

六本木で女と一緒にいる落合。そこに言いがかりをつけ、ぶっ飛ばされた男。その男はフリーライターの夏目だった。

彼はフラレスタ代表の落合を脅しにかかり、フラレスタの実態を聞き出そうとする。

 

Part5 高飛び

柴田は落合から夏目のことを聞き、落合をハワイに高飛びさせる。

 

Part6 楽園の夢

しかしハワイで落合は黒人によって射殺される。

 

Part7 ヤクザの論理

落合を消したのは銀英会のようだった。

銀英会会長の近藤邸で柴田は3年ぶりに近藤と会う。

落合にたかった蠅(ジャーナリストの夏目)ではなく落合を消したのは近藤のヤクザの論理だった。

 

Part8 守るべきもの

柴田と中編1Part5で登場した絵里は、いつの間にか同棲していた。

絵里のこれまでの人生が語られ、そして彼女が妊娠したことを柴田に告げる。

柴田は「新しい家族に乾杯。」と右手の缶ビールを持ち上げる。

 

Part9 惑乱の沼

ホストクラブに通う杉野友美。ホストの武のためにドンペリを入れろと頼む若者。それを断るホストの武。

ホストクラブのボスが「客は搾り取ってナンボ。」と言って、武に膝蹴りをする。

 

Part10 安全な仕組み

亀井と柴田が話し合う。

柴田はまず上納金を2%に増やす。

並行して業務を自動化する。

そして行方をくらます。柴田は新潟の寺に身を寄せる、という作戦だ。

「フラレスタは俺の命なんだ。フラレスタを守るためには何だってやるさ。」と言う柴田は亀井に頭を下げる。

 

中編3(2023/11/10号) (40ページ)

Part1抑えられない欲望

杉野友美はホストの武とデートし一夜を共にする。

武の夢は小さなバーをやることでその資金は目途が立っているという。

杉野友美がフラレスタに預けることを提案する。

 

Part2 潮時

銀英会の近藤が亀井に、カネの全額回収を命令する。

 

Part3 構う、構われぬ

フラレスタ財団のサイトを見る杉野友美。

350万入金し増やすはずが250万円も使ってしまった。

娘のさやかからの電話にも文句を言い、イライラする杉野友美。

 

Part4 無理な勧誘

杉野友美のパート先のスーパーマーケットで、恵子が健康食品ビジネスに専念する、と言って辞めていった。

ホストの武から「フラレスタに1000万円預けたいのでやり方をおしえてください」というラインを見て笑顔になる杉野友美。

 

Part5 引かれた銃爪(ひきがね)

銀英会の近藤を遠距離からゴルゴ13が狙撃した!!

 

1ヶ月前 新潟

柴田が銀英会の近藤殺しをゴルゴ13に依頼していたのだった。

 

Part6 引き返せない道

亀井が近藤殺しを柴田がやったのか問い詰める。

柴田はうなずいた。

柴田はシステムの切替と逃亡の準備に入る。

 

Part7 執着

杉野友美はホストの武を尾行する・

武には妻と幼い子どもがいた。

 

Part8 焦り

週刊文潮 会議室

フラレスタ財団と銀英会の近藤狙撃に関する記事を売り込むフリーライターの夏目。

デスクの男はフラレスタ財団の首謀者を突き止めインタビューを取ってくることを命じる。その一方で知り合いにフラレスタ財団が近いうちに破綻すると電話する。

 

Part9 狭まる逃げ場

亀井の会社に若頭の木島が来て、帳簿をきっちり揃えておくように命じる。

 

後編(2023/11/25号) (40ページ)

Part1使命感・劣等感の裏返し

新潟善幸院

柴田が寺の掃除をしているところにフリーライターの夏目がやってきた。

柴田は「詐欺はエンターテインメントなんだよ。」「無駄遣いはしていないから元本の7~8割は戻せる。」と言う。

 

Part2哀しい始末

夏目の記事が漏れ、銀英会は柴田をつかまえてカネの回収に走る。

亀井が柴田を箱に入れて逃がそうとするが、背後から拳銃で柴田を殺す。

 

Part3 虎になれなかった男

亀井は殺した柴田を山奥に穴を掘り埋めた。

そこに絵里が来て亀井に寄り添う。

 

Part4 破綻

記事やニュースでフラレスタ破綻が報じられる。

杉野友美もアクセスできない。

姉からは金が戻ってくるか電話で詰問される。

他の友達から問い詰められる。

杉野友美が勧誘した人達は約2200万円くらい迷惑をかけていた。

夫は「心配するな、まあ、何とかするさ。」と慰める。

 

Part5 許せない裏切り

ホストの武とその妻子が杉野友美の家に来る。

杉野友美の夫が「お金は全額、私が責任を持って弁済します。」と答える。

 

Part6 絶望の果て

翌日

杉野友美は睡眠薬を多量に摂取する。

夫は救急車を呼ぶ。

 

Part7男の筋道

フラレスタ破綻から1ヶ月後 横浜港

ゴルゴ13が亀井を射殺する。

 

依頼したのは生前の柴田だった。

亀井がどういう手口で金を国外に持ち出すかを読んだ上での依頼だった。

 

Part8 再生の道程

1ヶ月後

フラレスタの管財人は資金の流れの全容を把握し会員に対して出資額の6割程度を返還できる見込みだとニュースが報じた。

杉野の夫は秋田の酒造会社の営業になった。

そして「ゆっくりと失ったものを取り戻していこう。」と言う。