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手塚治虫『人間昆虫記』大都社(1973/05/10)

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私が読んだのは大都社版で、上のアマゾンの手塚治虫全集版ではないので一部異なる点があるかもしれない。


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もくじはこちら

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劇団テアトル・クラウの演出家蜂須賀のもとに臼場かげりが来て女優になる。

初めは西川敬子、次に田町泉の演技を手に入れる。そして蜂須賀の演出も。

蜂須賀は劇団をやめる。

 

臼場かげりはグラフィックデザイナーの水野瞭太郎のアイデアを盗みニューヨークで受賞する。

水野瞭太郎は落ちぶれてしまう。

 

臼場かげりこと十村十枝子として、芥川賞を受賞する。だがそれも同姓同名の臼場かげりの作品を盗んだものだった。

 

週刊放言の青草亀太郎は取材して十村十枝子のウラを突き止めたがアナーキスト蟻川平八に殺される。

蟻川は唐山会の甲雪村に雇われている殺し屋だ。

十村は蟻川に近づき彼の首相暗殺計画を小説にして発表する。

計画に失敗した蟻川は十村を連れて韓国に逃げるが韓国で殺される。

十村は大日本鋼機の釜石桐郎と愛のない結婚をする。

 

水野は取引先の金文社長が囲っていた十村そっくりの女しじみと結婚する。

 

釜石は十村が盗み出しリークした書類により失脚し自殺する。十村はどこかに逃亡する。

 

水野の妻しじみは金文によるムチャクチャな仕打ちが原因で病気になり死ぬ。水野は金文を殺し自主する。

 

カメラマンの大和多磨夫は十村十枝子を追い彼女が実家で母の蝋人形や子供の頃の思い出の品に囲まれて安心しきっているところを目撃する。

 

実家に放火した十村十枝子は大和多磨夫と会い、自分の写真を撮らせる。

大和に蜂須賀が近づき警告するが蜂須賀は十村がもった毒で死ぬ。

 

ギリシャに飛んだ十村は大和が撮影した写真で一躍時の人になるが、寂しさに吹き飛ばされそうだった・・・

 

自分自身がなく、他人の才能を盗み取り次々と変態していく昆虫のような十村十枝子こと臼場かげり。

 

手塚治虫の大人向け漫画の傑作の一つだ。

次々と変態していく姿は、通訳からキャスターを経て政治家に転身していった小池百合子都知事と重なる。

 

男をひきつけ取り込む女性の魅力(魔力)をあますところなく描いた傑作だ。