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白土三平・岡本鉄二『カムイ伝 第二部 4』(小学館)(1990/07/01)



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●佐渡守〔二〕

  日置領の城下町で鞘香が喧嘩をしてつかまり入牢した。

  そこに錦丹波が現れた。彼は鞘香が加代と仲がいいことを知っていた。罪人の鞘香をかくまった加代達も同罪だ、という錦丹波。加代達を助けてほしい、という鞘香。錦丹波は今後の鞘香の素行次第だと言う。錦丹波の後ろ姿に舌を出す鞘香。

  鞘香は美しい服を着て、生け花を生けたり、料理をしたり、竹間沢の庄屋が持ってきた琴を弾いたり、女らしいことをする。

  だが琴の弦が切れた!何か不吉なことが起こりそうな気配だ。

 

 諍乱(一)

  茶の湯をする鞘香。その茶を飲む父錦丹波。だが鞘香は琴の弦が切れたことが不安で仕方ない。そこに江戸への帰参が一月早くなったという連絡が入った。鞘香も錦丹波とともに帰参することになった。鞘香は加代に別れを告げに行く。

  鞘香を見送る錦丹波は「あやつ、いい気性をしている・・・男であればのう・・・」とつぶやく。

 

 諍乱(二)

  加代の所についた鞘香だったが、加代は望月の材木問屋の下女として質奉公に出たところだった。

  仲立ちの男は、加代が上玉で材木問屋の下女より渋川の岡場所(くるわ)に売れば半年は遊んで暮らせる、と気づく。仲立ちの男三次は、笹団子の店ひなた団子で、黒崎一家に加代を売った。

  黒崎一家に犯された加代は逃げ出した。そこに鞘香が現れ黒崎一家の三人を斬り殺した。面目をつぶされた黒崎一家は、二人を追う。二人は霧の中、山に逃げ込み、五百棲ヶ原(いらずがはら)の樹海に入った。

  鞘香が望月領渋川で黒崎一家の男を斬り殺したこと、山中に逃げ込んだことが日置領代官錦丹波にもたらされた。佐渡守に事前に許可をもらうことを慮った錦丹波だったが、捜索隊が組織され、山狩りになったが、成果が出なかった上、雪も降り始めた。

 

 五百棲ヶ原(いらずがはら)(一)

  雪の中、鞘香と加代は、穴を掘って暮らしていた。鞘香は食べ物を何とか調達しようとしたが、調達できず幻覚を見て危うく遭難するところを加代に助けられた。狼の遠吠えが聞こえた。あの白狼の群れだった。

  

 五百棲ヶ原(いらずがはら)(二)

  猿投沢城の望月佐渡守正次とその部下陣内が会話する。日置領代官錦丹波の娘が人を斬り逃走し、望月に捜査協力のために頭を下げた、と大笑いする。

  竹間沢の庄屋に対して、スダレ(苔丸)らしき男が、今回の山狩りについて問い詰める。五百棲ヶ原には隠し米があるからそれが見つからないか神経質になっていた。

  錦丹波の所に竹間沢の庄屋達が来て、今後の捜索は、少数精鋭で行うことを提案した。

  また猿投沢城から使者が来て、捜査協力することと、錦丹波が喜ぶ品を渡す、と話した。

  鞘香と加代は雪中でカエルや山芋を食べて懸命に生きていた。「人も獣も生命(いのち)の一滴(ひとしずく)を生きている点では変わりない。」という加代の言葉が頭に残る鞘香だった。

  吹雪では身動きがとれなかった二人だが、晴れ間に食料を探しに出た。あの白狼の群れがしとめた獲物の食べ残しを見つけてむさぼる二人だった。

 

 五百棲ヶ原(いらずがはら)(三)

  猿投沢城西の丸にある山里と名付けた庭園で、佐渡守が錦丹波と稲富一心を接待する。そして五百棲ヶ原に鞘香と加代が迷い込んだのではないか、と話す。さらに今回の事件の発端となった女衒の三次と渋川の代貸の元締め黒崎一家の十蔵の首を持ってきた。身柄を引き渡したら幕法で裁かなければならず、それによって鞘香の行状もバレてしまう。だから処分した、と佐渡守が言う。これで錦丹波は佐渡守に大きな借りができてしまった。

  鞘香と加代は雪中で何とか生きていた。兎を追い、猪を追って、猪が見つけた食べ物を横取りしていた。

  二人を探す狩人達が二人のすみかを発見したが空だった。彼ら捜索隊は雪の上で死体になっていた・・・。

  温泉を見つけた鞘香と加代は温泉につかりユキノシタを見つけてすみかに戻ろうとした。小刀を温泉に忘れた加代は温泉に戻ったが、すみかに帰ってこなかった。加代を探しに吹雪の中、外に出た鞘香だったが倒れてしまった。そこに左目に眼帯をした狩人が通りがかり、鞘香を背負って吹雪の中歩いて行った。

  江戸に立つ日限が来た錦丹波は鞘香の身の上を案じながら、江戸に向かった。

  

[感想]

 女衒に騙された加代と彼女を助けようとした錦丹波の娘、じゃじゃ馬の鞘香。佐渡守の企みは何だろう?

 何かが起ころうとしているが、何が起こるのだろう。

 

●念者〔一〕

 謀反(一)

  江戸幕府が、藩を取り潰すと牢人が増え、牢人達が反乱を企てる。失敗すると一族が市内引き回しの上、磔刑獄門に処せられた。当時一万石の大名は235人の家臣を従えて出陣したので、概算すると40万人の牢人がいた。家族や奉公人を含めるとその5~6倍の人々が路頭に迷ったのだから、反乱に一か八かを賭けたのも当然だった。

 謀反(二)

  牢人達が集まり話し合っていた。老中を斬る、かつての牢人の乱で裏切って禄を得た者を討つ、などの意見が出る。それを聞いていた草加竜之進は、「くだらぬ」と一喝する。「老中を斬っても代わりはいる。武士がいなくなっても世は成り立つが、百姓がいれば世は成り立たない。だが百姓にはなりたくない。」と言う草加竜之進。「ではどうする?」という仲間の問いに「わからぬ」と答える草加竜之進だった。

  そして役人に囲まれたことに気づく。

  草加竜之進を気に入った男と二人で表口の役人達を迎え撃つ。その間に牢人達を逃がすのだ。

  草加竜之進は屋根から隣の武家屋敷に忍び込んだ。そこには堀田正俊がいた。堀田正俊は老中堀田正盛の第二子で、春日局の養子となり四代将軍家綱の近習となり、五代将軍綱吉の側近になり大老にまでなった男だ。この時はまだ一万石の大名にすぎなかった。その堀田正俊に草加竜之進は笹一角と名乗った。

  気があった二人は酒を飲み交わし、翌朝、堀田正俊の駕篭の傍らに付き従って笹一角(草加竜之進)は囲みを抜けた。

 

 旗本奴(一)

  いきがる若い旗本達と町奴の喧嘩が始まった。分が悪いと思った旗本の一人が「錦!仲間を呼んでこい!」と叫ぶ。錦が走って武士達にぶつかった。その武士のリーダーが白柄組水野十郎左ヱ門だと名乗りこの喧嘩を預からせてもらう、と啖呵を切った。そして、宴席をもよおし双方を呼んで、喧嘩を仲裁した。

  水野十郎左ヱ門は錦源之助を呼ぶ。錦源之助が錦丹波の息子であることを知っている水野十郎左ヱ門はいつでも館に顔を出せ、と言う。

 

 旗本奴(二)

  錦源之助と仲間達が帰る時、女を見つけ、襲おうとした。そこに一人の牢人が現れ、旗本奴達を剣を鞘から抜かずに全員倒す。

  

[感想]

  笹一角(草加竜之進)と堀田正俊の出会い・・・そんな大物に出会ったとは、驚いた。

  錦丹波の息子源之助が登場した。水野十郎左ヱ門が生きていたのにも驚いた。第三巻に登場した水野十郎左ヱ門と同じ顔に見えるのだが・・・。

  徐々に登場人物達が交わりだして面白くなってきた。

  続きが気になる。