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夏川草介『神様のカルテ』小学館(2009/08/27)

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■夏川草介

■神様のカルテ

■出版社: 小学館 (2009/8/27)

■ISBN-10: 4093862591

■ISBN-13: 978-4093862592

■発売日: 2009/8/27

 

 現役の医師である夏川草介の小説で、第10回小学館文庫小説賞を受賞したデビュー作で、2009年8月に小学館から単行本が発売された。2010年に本屋大賞で2位となった。

 2011年に読んだ小説では一番面白い小説だった。

 松本の規模の大きな24時間365日診療をウリにする本庄病院に勤める若手医師の物語。漫画や映画にもなった。

 ストーリーは淡々としていて、大きな事件は起こらず、主人公が苦難を乗り越え成長するわけでもない。ごく日常的な地方の大病院の日常的な時の流れが描かれている。登場人物が漫画のようにデフォルメされ、わかりやすいキャラクター設定になっている。「ここで読者を感動させて泣かせるぞ」というのが透けて見える。こういうクサイ所がいくつか垣間見えるのだが、そういう欠点を超えるものが十分にある。それは、事実に基づいたストーリーと、様々な問題を抱える地方の医療現場でありながらその中に楽しさや喜びを探す主人公や患者の楽天的な所と、生きることの本質だと思う。

 都会で忙しい毎日を続けていると、都会の便利さゆえに生きることのすばらしさを忘れてしまう。忘れてしまった生きることの本質を思い出すためにいい作品だ。