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猪瀬 直樹 (著) 『空気と戦争 (文春新書)』文藝春秋 (2007/07/18)

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■猪瀬 直樹 (著)

■空気と戦争 (文春新書)

■出版社: 文藝春秋 (2007/07/18)

■ISBN-10: 4166605836

■ISBN-13: 978-4166605835

■発売日: 2007/7/18

 

 本書は東京工業大学生向けに行った講義をまとめた本だ。

 第一章から第三章は、同じ著者の『昭和16年の敗戦』のエッセンスをまとめている。大東亜戦争を歴史としても学んでいないような現代の大学生向けに、わかりやすく説明している。

 第四章は、大東亜戦争を始めてしまった官僚主義が、現代にも続いていることを、著者の道路公団との戦いを通して実証している。そして、客観的と思われる数字をあげても、「空気」によって、その数字が思いもよらない方向へ動かされることがあることを戒めている。

 「空気」とは、心理学者のS・E・アッシュが実験で証明した「同調圧力」だ。そして、著者の主張は、p.188にある次の言葉に集約される。

 「空気」に屈しないためには、(中略)「事実」にもとづいて、論理とデータで考えていくことだ。そうやって社会で働いていれば自然と「空気」とは無縁の「オンリーワン」になれる。

 原発反対、原発再稼働、消費税増税・・・。マスコミによって作られる「空気」に対して私達は、どれだけ「事実」に基づいた「論理的」な判断や行動をとっているだろうか?大学生のような若い世代の人にはぜひ読んで欲しい本だ。