====もくじ====
============
第24話『査察シースルー』(1970/03作品)
脚本協力:小池一雄
ページ数:86ページ
依頼者:アメリカ国防総省の3人
ターゲット:ソ連の元外務大臣 ビアチェスラフ・M・モロトフ
依頼金額:50万ドル
狙撃場所:国連会議場
殺害人数:2人
殺害相手:ヘビー級のボクサー CIAの女性破壊工作員スネーク・ダンサー
H:1人(国連事務局員ベルマ・ハーロー。正体はCIAの女性破壊工作員スネーク・ダンサー)
1969/12/6、ウォロシーロフ元帥の国葬が行われた。
そこに出席したビアチェスラフ・M・モロトフ 79歳の写真。
スターリンの片腕になった元帥と外務大臣だ。
どうやら今回のターゲットはモロトフ外相のようだ。
3人のサンタクロースが現金を渡そうとするが、ゴルゴ13は、正体のしれない相手とは仕事の話をしない、というルールを話して部屋を出ようとする。
ゴルゴ13をヘビー級のボクサーが襲うが、ゴルゴ13は彼を暖炉に投げ入れて返り討ちにする。
3人のサンタはアメリカ国防相のお偉いさんのようだが、ゴルゴ13のルールを破ってサンタクロースの扮装を脱がない。ゴルゴ13は万年筆に仕込んだ爆弾で3人を脅迫する。
3人は観念してサンタクロースの扮装を脱いだ。
査察シースルーと呼ばれるスパイ衛星がソ連スパイに奪われてしまったのだ。その情報をモロトフは国連で公にしようとしているのだ。今回の任務はモロトフが査察シースルーを公にするのを防ぐことだ。
ファッションショー会場に入ったゴルゴ13の前でモデルの服が落ちてしまった。彼女は国連事務局員ベルマ・ハーローと名乗ったが、実際には、CIAの女性破壊工作員スネーク・ダンサーだった。
彼女は背後からゴルゴ13に銃口を突きつけるが、ゴルゴ13は窓に背後を映しており、彼女の行動を全て見ていた。しかも銃からは銃弾を抜いておいたのだ。
国連に向かう車中でモロトフにKGBのキニスキーが死んだという情報が入った。
彼は『ゴルゴ13 第1巻 ビッグセイフ作戦』、第4話『色あせた紋章』にも登場していた。
モロトフは国連に出かける前にキニスキーを見舞っていた。キニスキーがシースルーのことを国連で公にしたら、アメリカがモロトフ暗殺の実行をいとわないこと、その手口についても話した。超音波同調装置を使い、通訳用レシーバーを通じて、モロトフを暗殺する、というのだ。死因は脳溢血となる。
ゴルゴ13にソ連側から電話が来た。盗聴しているCIAの裏をかくようにロシア語でモノメディノメと言われる暗号で会話をする。
ゴルゴ13は彼を監視しているCIA要員に警告をした後、カーネギーホールに向かい、ボリショイバレー兼非合法工作員と会話する。そこでキニスキーからの伝言を伝える。キニスキーの言葉は”世界平和に花束を・・・・ダスビダーニヤ降雪」だった。
ゴルゴ13を見失って焦るCIA職員達。
天井裏に隠れたゴルゴ13。
そしてモロトフの演説が始まった。
その時信号弾が撃たれモロトフの原稿が燃えてしまった。モロトフはそれで全てがわかった。モロトフはシースルーについて一言も発せず議場を去った。
スネーク・ダンサーがゴルゴ13を射殺しようとしたが、ゴルゴ13が返り討ちにした。
最期に彼女が「どうしてあんなことを」と質問する。
「キニスキーから遺言をうけとった・・・こちらの手の内は知られていたということだ・・・」とゴルゴ13が答える。
実在の人物で、スターリンの片腕だったモロトフ外相が登場する。
ゴルゴ13が、仕事の内容を変えた珍しい事例だ。キニスキーの遺言とはいえこれは珍しい。
第15話『WHO!?』(1969/10作品)
脚本協力:小池一雄
43ページ
依頼者:不明
ターゲット:殺し屋イエローダッシュ
依頼金額:不明
狙撃場所:ポルトガル リスボン郊外のパーカー財閥四代目当主G・アンドレ・パーカーの別荘
殺害人数:1人
殺害相手:殺し屋イエローダッシュ
H:0人
ポルトガル リスボン郊外のパーカー財閥四代目当主G・アンドレ・パーカーの別荘で彼の妻ナンシイが風呂上がりに倒れた。
そこにはタランチュラのマークのバスタオルが落ちていた。
夕食の時にはタランチュラの彫刻が入ったライターが落ちていた。それを見たナンシイの顔色が変わった。
ここでナンシイの回想シーンに入る。
ナンシイは娼婦だった。情夫のイエローダッシュからはシャーロッテと呼ばれていた。
シャーロッテが客と寝ているところを情夫が射殺する殺し屋だったのだ。
シャーロッテはダッシュの殺人を証言しダッシュは死刑判決を受けた。
シャーロッテはコーバック探偵事務所を訪れた。彼はかつてシャーロッテを取り調べ証言するよう説得した刑事だった。
ダッシュは特赦によって二年前に釈放され整形手術を受け顔を変えてていた。コーバックはナンシイに協力し、ダッシュを見つけ出すことを約束した。
パーカー家に出入りしているのは、ランズベリー・ゴードン卿、石のセゲロ・アーミガンド、写真家のチャーリイ、スノウ夫婦、執事のカール、そしてカーデュ神父だ。彼はゴルゴ13だ。
誰もが犯人に思えて困惑するナンシイ。
ざんげをしたいと言ってゴルゴ13を部屋に呼んだナンシイ。
ゴルゴ13はカーテンの後ろにいる男を射殺した。ダッシュはコーバックに化けていたのだ。
駆け寄るパーカー。そして彼はナンシイに彼女の過去を知っていた、と話す。
ゴルゴ13は誰かに電話をした。「うむ、すんだ・・・イエローダッシュはたしかに始末したよ・・・いや・・・ミスター・パーカーはおれのことをただのボディガードだと思っている・・・」と言って電話を切るゴルゴ13。
翌日、ナンシイは忽然と姿を消した。
探偵モノのような犯人捜しが楽しめる異色作だ。
少しトリックに無理があるかなぁ、と思った。
例えばタランチュラのマーク入りの物品があちこちに置いてあったが、全てをイエローダッシュがやっていたとは思えない。
コーバックとイエローダッシュだと体格、特に身長に差があってさすがに変身するのは難しい気がする。
それにしても真の依頼者は誰だったのだろうか?
最後にパーカーの元を去るナンシイが哀しい。
第29話『価値なき値』(1970/05作品)
脚本協力:森幸太郎
85ページ
依頼者:CIA フーバー
ターゲット:特殊な装甲運搬車ブーメランが運ぶ毒素兵器トクシンP2を奪おうとする者たち
依頼金額:不明
狙撃場所:アメリカ・メリーランド フォートデリック生物化学センターからエコーバレーに至る道
殺害人数・相手:12人 娼婦に化けた中国統一戦線工作部の女スパイ 統一戦線工作部の男スパイ6人
ブーメランが運搬するのが1億2千万ドルの金と勘違いしたビッグ・チーフとショーリー
アメリカ・メリーランド フォートデリック生物化学センターのウェード博士
東側のスパイ2人
H:1人 娼婦に化けた中国統一戦線工作部の女スパイ
ラスベガスの賭博場から銀行までの19時間を運搬する現金輸送車がブーメランだ。
水陸両用にするなどの改造を施すことになった。その改造現場に一人のネイティブアメリカンがいた。
アメリカ・メリーランド フォートデリック生物化学センターでホイットマン博士が死んだ。彼の傍にはビンのようなものが落ちていた。
ブーメラン改造現場にいたネイティブアメリカンが仲間に途方もなく大きなヤマがあると告げる。仲間が金の国外流出を防ぐために1億2千万ドルの金を運搬することを突き止めた。4人は1億2千万ドルの金を狙うことにした。
4人は、ネイティブアメリカンのビッグ・チーフとスリムにマックにマネーマンショーリーだった。
彼ら4人は1965年8月ベトナム戦争でバンチュオン半島の戦いに参加した元海兵隊員だった。
その時大23機甲補給分隊は水陸両用走行輸送車(アームトラック)5、M48戦車2、人員30名の編成による227トンの鋼鉄分隊だったが、ベトコンの待ち伏せに遭い、戦死者26名、生存者4名だったのだ。
CIAのフーバーがゴルゴ13に依頼をする。レオナード・ホイットマン博士の死が毒素兵器トクシンP2が原因であること、ブーメランでトクシンP2を運搬し、廃棄することを話す。フーバーは、トクシンP2を無事に廃棄できるよう協力を依頼した。
ゴルゴ13の部屋に娼婦が駆け込んできた。客がその娼婦に財布を盗まれたと言うので逃げてきたというのだ。しかし彼女の服からは男物の財布が落ちた。
ゴルゴ13はそれを見たが警察には通報せず女を抱く。
そこに電話がかかってきた。CIAからだ。
「廃棄地点エコーバレーに行ってくれ。」と言われた。
それをこっそり聴いていた女。
ゴルゴ13は女を射殺する。
その後、男が2人やってきたがゴルゴ13が返り討ちにする。
ブーメランを狙う4人組の一人がブーメランを止めたが、合い言葉を知らなかったため、トクシンP2で殺されてしまった。
残った3人がブーメランを燃やそうとした。30分間火の中にいたブーメランだったが宇宙から帰還する宇宙船と同じようなコーティングがしてあり熱に強かった。
何事もなくブーメランは3人の前を走って行った。
ネイティブアメリカンの居留地に入ったブーメラン。
ゴルゴ13を襲ったスパイ達は、中国統一戦線工作部のメンバーだった。ゴルゴ13は彼ら4人を射殺した。
ブーメランの車内で、運搬リーダーのウェード博士がトクシンP2で他の面々を殺し、ブーメランを運転し、マックをひき殺し、ビッグ・チーフとショーリーが待つ方に走っていく。
そこにヘリコプターが飛んできた。
ゴルゴ13は、ヘリコプターを追っているうちに、ブーメランに落石させようとしているビッグ・チーフとショーリーを見つけ、射殺する。
しかし落石は止められなかった。
ブーメランは落石をものともせず、走り抜ける。
ヘリコプターから男が出てきた。ウェード博士はホイットマン博士を殺しトクシンP2を東側に渡そうとしていた。
ゴルゴ13がトクシンP2にM16の銃弾を撃ち込んだ。
誰が敵かわからないサスペンスと迫力あるアクションシーンが揃った傑作だ。
第30話『魔笛のシュツカ』(1970/06作品)
脚本協力:K・元美津
85ページ
依頼者:NATO
ターゲット:西ドイツ共産党広報部長マルチン・リスナー
依頼金額:不明
狙撃場所:オーストリア ウィーン
ウィーン中央墓地
殺害人数・相手:12人(ハンガリー秘密警察(AVO))(AVOの人数は10人と言っていたがコマ中では9人が吹き飛んでいる)
マルチン・リスナー
ハンガリー諜報局員マルギット大尉
シュツカ
H:2人(殺し屋シュツカの娘パミーナ フランス外事情報局員の女)
元ナチス突撃隊暗殺者シュツカ。
彼はSA幕僚長レーム粛清時に26歳だった。そして彼は命令を受けておよそ200名を殺してきた。
彼の元に女が訪ねてきた。彼女はヒトラー親衛隊大佐カール・フォン・シュミットが戦死したときに残された2歳の少女だった。
彼女は、西ドイツ共産党広報部長マルチン・リスナーの暗殺を依頼する。
シュツカにはパミーナという娘がいた。彼女はジーノという男と相思相愛だったが、彼はユダヤ人だったため、シュツカに反対されていた。
父に反対されたパミーナはゴルゴ13の車の前に飛び出し、ゴルゴ13の車に同乗し一夜を共にする。
ゴルゴ13は数日前、NATO軍事委員会からマルチン・リスナー狙撃の依頼を受けた。
旧ドイツ軍の兵器の所在を彼が知っていて武器が東側に流れるのを防ぐためだ。
ハンガリー秘密警察(AVO)の10人がゴルゴ13とシュツカを狙う。シュツカの本名はマックス・ローレンツという。ゴルゴ13がハンガリー秘密警察の10人全員を殺す。
シュツカとゴルゴ13がマルチン・リスナーを狙うがリスナーが抱いている子どもに動揺したシュツカは引き金を引けなかった。ゴルゴ13がマルチン・リスナーとハンガリー諜報局員マルギット大尉を射殺した。
翌朝、シュツカとゴルゴ13が対決しシュツカは敗れたのだった。
haruichiban0707-books.hatenadiary.com