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さいとう・たかを『ゴルゴ13』第641話『ゴッド・セイブ・ザ・キング』(『ビッグコミック』2024/07/25号, 08/10号, 08/25号, 09/10号)

 

 

『ゴッド・セイブ・ザ・キング』(脚本協力 夏緑) (『ビッグコミック』2024/07/25号)

 

依頼者:1)イギリス政府

    2)デ・ロアズ社会長ソロモン

ターゲット:1)コイヌール

      2)デ・ロアズ社副社長メネリク

依頼金額:金額不明

狙撃場所:1)イギリス ザ・シャード

     2)イギリス ロンドン

殺害人数・相手:

     1)0人(コイヌール)

     2)1人(デ・ロアズ社副社長メネリク)

 

前編『ビッグコミック』(2024/07/25号)

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イギリス・ロンドン

顔が黒く塗られたホテル従業員らしき女が、ホテルで抱き合う男女を拳銃で射殺した。

 

Part1 ゴッド・セイズ・ザ・クイーン

1952年2月6日、新女王が誕生した。弱冠25歳だった。

王笏(セプター)には"偉大なアフリカの星"の二つ名を持つ、世界最大にして英国王室最高のダイヤモンド"カリナンI"が、王冠には"カリナンII"が輝いていた。

2022年9月8日、偉大な女王は神の御許へ旅立った・・・

 

Part2 英国情報局秘密情報部(MI6)

MI6の正式名称はイギリス情報局秘密情報部(シークレット・インテリジェンス・サービス)(SIS)という。

新人のシャーリー・アンドリュースは、ジェラルディーン局長の特別外出許可書をもらって、女王陛下の国葬を見に行った。

ギャラガー部長は、ロンドン橋作戦(オペレーション・ロンドン・ブリッジ)の途中で外出したシャーリーに怒っていた。

ジェラルディーンは「女王陛下への忠誠に一生涯をかけたヒューム卿への手向けだ」と言った。

ヒューム卿はシャーリーの大伯父だった。

 

Part3 ロンドン橋作戦(オペレーション・ロンドン・ブリッジ)

ロンドン橋作戦(オペレーション・ロンドン・ブリッジ)とは女王崩御にそなえた葬儀計画だった。

シャーリーが着いた時には、もう葬儀が終わってバッキンガム宮殿に向かったところだった。

 

Part4 ビッグ・ベンの鐘は鳴る

シャーリーが女王の棺に追いつき、首にかけたロケットの中のヒューム卿の写真に女王の棺を見せていた。

その時、テロリストが手榴弾を持っているのに気づき、手榴弾を奪った。シャーリーは捕まってしまったが、男は逃走した。

 

Part5 お前は何者だ!?

逃走した男は、何者かに拳銃を撃たれた!

 

Part6 冷酷な取り調べ官

捕まったシャーリーは、取調べ官に拷問にかける、とか、LSD25(リゼルグ酸ジエチルアミド)を投与するなど脅される。

そこにMI6のギャラード・ギャラガー部長が助けに来た。

シャーリーを取り調べていたのはMI5部長オリバー・ローレンスだった。

 

Part7 MI5 VS MI6

MI5は現在の正式名称は保安局(セキュリティサービス)(SS)という。

MI6が国外の諜報を、MI5はイギリス国内の治安維持と対諜報活動に携わっている。

ローレンスがLSDだと言った薬はビタミン剤だった。

 

Part8 黄金の宝珠作戦(オペレーション・ゴールデン・オーブ)

チャールトン新国王の戴冠式を行う作戦名が黄金の宝珠作戦(オペレーション・ゴールデン・オーブ)だった。

シャーリーはテロリストを取り逃がしたことで落ち込んでいた。

似顔絵を描き、テロ犯が「偉大なるアフリカの星を奪った帝国主義のハイエナ」と言っていたことをしっかり聞いていた。

ギャラガー部長は、カリナンシリーズは南アフリカ産で、同国に返せと言われているので、それがテロの動機だと推測していた。ベテランのトビーをシャーリーの補佐につけた。

 

Part9 テムズ川は夜更け過ぎ

ロンドン東部の港湾地域”ドックランズ"で、MI5部長オリバー・ローレンスがゴルゴ13と会っていた・・・

 

[感想]

ゴルゴ13に登場して活躍したMI6のヒューム卿大伯父に持つシャーリー・アンドリュースの登場だ。

明るく前向きでちょっとおっちょこちょいだが、テロリストとも格闘できる現代っ子らしいキャラクターだ。

今後、ゴルゴ13と共闘していく新たな人物の登場で、楽しみだ。

 

 

 

中編1『ビッグコミック』(2024/08/10号)

Part1 MI5の依頼は・・・

MI5部長オリバー・ローレンスは、チャールトン新国王の戴冠式に向けた”黄金の宝珠作戦(オペレーション・ゴールデン・オーブ)"を阻止しようとするもの全ての排除を依頼する。また、ホテル・ロンドン・アイでのフランス女優、ルー・ディアマンと恋人で俳優のフィリップ・アダマス殺害がゴルゴ13がしたこととみて、スコットランドヤードに手を回しもみ消したことを誠意と言う。だが、その依頼はゴルゴ13によって却下された。

 

Part2 アンドリュース嬢最初の事件

シャーリー・アンドリュースとトビーは、ダイヤモンド市場を牛耳っているデ・ロアズ商会のパーティーに行きたい、とギャラガー部長に頼んでいた。

今回のテロ犯がダイヤモンドを狙っているので、このパーティーで公開される世界で三番目に大きなダイヤモンドを狙ってくる、と読んでのことだった。

 

二人はデ・ロアズ・ダイヤモンド・ジュエラーズ、ロンドン旗艦店のパーティーに出席した。

そこには、高級娼婦のようなファッションをした背の高い女や、フィンベリー夫人らがいた。

ホストは、副会長のサー・メネリクだった。

 

Part3 ナンバー・スリー

フィンベリー夫人は決して値が下がらない、と言われていたダイヤモンドに資産を変えていたので、デ・ロアズの業績悪化による、歴史上初めての4割引セールによって総資産が目減りしていたのだった。

 

Part4 尾行

トビーは、パーティー中に庭に出たサー・メネリクを尾行していた。

 

Part5 薔薇の下で・・・

サー・メネリクは、高級娼婦のようなファッションの女と薔薇の下でSEXしていた。

女はサー・メネリクに、ブルーダイヤの婚約指輪を要求した。そう言いながら、右手で懐から消音器付きの拳銃を取り出し、トビーを撃った。銃弾はトビーのすぐそばに命中したが、トビーには当たらなかった。「仕留めてくるわ」と女は言って、トビーに近づく。

 

Part6 ダイイング・メッセージ

靴の裏から小さな拳銃を取り出したトビーと女が撃ち合ったが、トビーの銃弾ははずれ、女の銃弾3発を浴びたトビーは、4発目でとどめを刺された。

ダイイングメッセージで地面に「772」と書いたが女に足で消された。

女は、提示に文句をつけた顧客をハニー・トラップで、ハニートラップが効かない奴は蜂の毒針で、サー・メネリクを出世させてきたのだった。

 

トビーの死体を恩が引きずって運んで行った。そこにゴルゴ13が現れた。

トビーの死体の下に何かを埋めた跡を確かめようとしたが、そこにシャーリー・アンドリュースがやって来た。

 

Part7 警報(アラート)

シャーリー・アンドリュースはトビーの発信器から警報(アラート)が出たのでやって来たのだ。そして、トビーの死体の下にあった跡を掘り、トビーの発信器と小型デジカメを発見した。

薔薇の陰からそれを見つめるゴルゴ13。

 

[感想]

この号のゴルゴ13の顔は、生前のさいとう・たかを氏によるゴルゴ13に近い絵と表情だ。

MI5はなぜ依頼を断られたのか

高級娼婦のような大女が何者なのか

シャーリー・アンドリュースは事件をうまく解決するのか

次回も楽しみだ。

 

 

 

中編2『ビッグコミック』(2024/08/25号)

Part1 ゴルゴという男は・・・

シャーリー・アンドリュースはトビーがネクタイピンに隠していたシークレット・カメラを発見した。彼女の背後にゴルゴ13が現れた。

シャーリーは偽造身分証を出したがゴルゴ13はすぐに見破り拳銃をシャーリーに向ける。シャーリーが思わずMI6だと話してしまった。

シャーリーがMI6だとわかったゴルゴ13は拳銃をしまい、「お前がMI6なら俺には関係のないことだ。」と話し、葉巻を取り出し、トビーが助からないこと、手がかりをシャーリー・アンドリュースが持っていることを話す。

ゴルゴ13はシャーリーが去るのを見送った。

Part2 シガリロに火を

脱出したシャーリーは仲間と会い、トビーが残した品を持って一度退却する。その車中で、ゴルゴ13がシャーリーの目の前でシガリロに火をつけたことの意味を考える。

Part3 ジョンソン・サットン

ロンドンの西、90マイル ソールズベリー

シャーリー・アンドリュースが取り逃がしたテロリストはジョンソン・サットンといい、女王陛下の国葬の日に家が火事になって行方不明になっていた。

Part4 緊急合同会議

MI6本部

トビーのネクタイピンに隠したシークレット・カメラから、彼が女に殺されたことが判明した。

シャーリー・アンドリュースはスコットランドヤードに証拠を提出しよう、というが、ギャラガーは自分達で捕らえて拷問しようとする。ダンカン・ハミルトン副部長がギャラガーを落ち着かせ説明する。

 

英国は、南アフリカに対して、”カリナンシリーズ”の返還には応じられない。

デ・ロアズ商会は英国に本社を持ちアフリカにダイヤモンド鉱山を持ち文化財返還運動に悩まされているから英国側だ。

デ・ロアズが世界のダイヤモンド市場を支配するためのシンジケートが国際ダイヤモンド保安機構(IDSO)だ。

それと敵対するのが、不正ダイヤモンドバイヤー(IDB)。

かつてIDBのボス、アドリン・B・カザリアンの娘ガミール・リーハをゴルゴ13に暗殺させたのがMI6だから、MI6は”あちら側”と組むことはない。

だから今はトビーの仇をとる、という考えは飲み込み、水面下で捜査を進め、デ・ロアズに責任を取らせるのだ、とダンカン・ハミルトン副部長が説明した。

 

そして、MI5のローレンス部長に対しても、協力を依頼する。

MI5のローレンス部長は、ゴルゴ13がデ・ロアズ側だとすると、シャーリー・アンドリュースの前で煙草を吸ったのは、「自分はしばらくこの場に滞在する・・・則で・ロアズのバラ園にいたメネリク氏と約束がある、というサイン」だと解釈していた。MI5の最優先事項は”黄金の宝珠計画(オペレーション・ゴールデン・オーブ)”の完遂で、そのために最も重要な条件の一つがゴルゴ13を敵に回さないこと、と考えていた。

悔しそうに歯がみするダンカン・ハミルトン副部長。

 

Part5 奴の"仕事"はなんだ!?

ディック・トッド主任が現れ、ソールズベリーでジョンソン・サットンの家が燃えたこと、彼本人が行方不明になっていることを報告した。

おそらくジョンソン・サットンはデ・ロアズにやられたのだろう。

そしてルー・ディアマンは、南アフリカ出身でダイヤモンド略奪に反対しており、ジョンソン・サットンは彼女の狂信的なファンだった。

MI5のローレンス部長が思い出した。ホテル・ロンドン・アイでフィリップ・アダマスとルー・ディアマンが既に殺されていた。

 

[感想]

この号のゴルゴ13の顔は、生前のさいとう・たかを氏によるゴルゴ13に近い絵と表情だ。

MI5はなぜ依頼を断られたのか

高級娼婦のような大女が何者なのか

シャーリー・アンドリュースは事件をうまく解決するのか

次回も楽しみだ。

 

 

後編『ビッグコミック』(2024/09/10号)

Part1 見えないピース

MI6は、デ・ロアズ副会長メネリクがゴルゴ13に何を依頼したか調査を進める。

フィリップ・アダマスとルー・ディアマンは、デ・ロアズ社の前で人造ダイヤの婚約指輪をはめるパフォーマンスをする予定だった。それがデ・ロアズ社の逆鱗に触れたのは確かなようだが、まだ何かパズルのピースがあるはずだった。

Part2 ふたつの塔(タワー)

ロンドン塔にはカリナンIを飾った王笏(セプター)、カリナンIIを飾った大英帝国宝冠(インペリアル・ステート・クラウン)、インドの歴史的宝石”コイヌール”を飾った王妃の宝冠などがある。

ロボットがロンドン塔内を移動して曲面を作っていく。

ロンドン塔の対岸にはヨーロッパで最も高い310mの塔”ザ・シャード”がある。

そこからM16を構えるゴルゴ13。

Part3 幻想が消える日

数日前

メネリクと高級娼婦のような大女がトビーの死体を埋めている。そこにゴルゴ13が現れた。メネリクはゴルゴ13にコイヌールを砕いてほしい、と依頼した。

宝石としての希少性や美しさは、ダイヤモンドよりエメラルドの方が上だ。徹底的な生産調整とブランディングで、ダイヤの価値を高めたのがデ・ロアズ社だった。だが、パリの5大宝石店”グラン・サンク”が人造ダイヤを押し出してダイヤの価値の幻想を消そうとしている。そこでメネリクはコイヌールを破壊し、戴冠式の王冠にコイヌールを使わせないようにゴルゴ13に依頼したのだ。

しかし、ゴルゴ13は、メネリクの願いはかなうだろう、と言いながら報酬は受け取らなかった。

Part4 ダイヤモンド・コースター

ザ・シャードからゴルゴ13がM16で狙撃した。

銃弾はロボットが設置した曲面で方向が変わり、ロンドン塔の奥に置いてあるコイヌールを見事に破壊した。

Part5 チャンスはもうない!

新聞にコイヌールがカラスによって破壊されたと掲載されていた。そしてダイヤモンド市場の価格は暴落していた。

メネリクを呼んだソロモン会長は、メネリクをかばう価値がない、と言って、メネリクをゴルゴ13に射殺させた。

Part6 謝罪の旅路

インド総領事館に、ギャラガー部長とシャーリー・アンドリュースが出向いていた。

コイヌールを破壊されたことの詫びのためだった。

Part7 コイヌールはここに

コイヌールはインド総領事館にあった。

Part8 国王陛下の憂鬱

国王はインドにコイヌールを返還するつもりだった。カリナンも返さないといけないし、そうすると国王の権威に傷がつくと国内に不満の声があふれてしまうことを、国王は気にしていた。

Part9 奇跡の狙撃(ミラクル・ショット)!!

そしてもうひとつの”黄金の宝珠作戦(オペレーション・ゴールデン・オーブ)”が始まったのだ。コイヌールと寸分違わぬ人造ダイヤを制作し、ゴルゴ13がそれを破壊したのだ。

Part10 戴冠式

結果的に国王の王冠と王笏にはカリナンIIとカリナンIIが、王妃の宝冠にはコイヌールの代わりにカリナンIII、IV、Vが使われた。

Part11 秘密はバラの下に

シャーリー・アンドリュースはヒューム卿が愛したバラの庭で、ヒックスさんがいれたお茶を飲みながら、ヒューム卿を思い出しながらゴルゴ13へお礼を言うのだった。

 

[感想]

ゴルゴ13に誰が何を依頼したのか、最終回で、全て明らかになった。

それにしても二重三重になった複雑で面白い話しだった。

シャーリー・アンドリュースが今後も登場するのが楽しみだ。