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読書メモや映画やテレビ番組視聴メモです

アリスⅥ

アリスⅥ 1. つむじ風  この曲の歌詞の意味がわかるようになったのは大人になってからのことだ。激しいつむじ風のような恋の情熱をうまく表現したものだ。比喩がとてもうまく使われている名曲だ。 2. 冬の稲妻  アリスのデビュー曲と誤解している人が多いアリス最初のビッグヒット曲。谷村新司は「ヒットさせることを意識して作った曲で、ヒットしなかったらどうしようと、思った」と語っていた。この曲を初めて聞いた時、背中が震え上がった。そしてアリスと結びついた。「『青春時代』や『今はもうだれも』や『遠くで汽笛を聞きながら』とアリスがつながった。以来、今までずっとアリスのファンが続いている。 3. 砂塵の彼方  金のために志願した外人部隊の兵士は、この歌詞の若者のように「思いでだけを守るために 愛する人を守るために」死ぬとは思わないだろう。これはおそらく外人部隊の意味を谷村が誤解していたのだろう。しかし、大東亜戦争を戦った兵士たちはこの若者のような思いを抱きながら死んでいった人も多数いただろう。  まさにその頃は「不幸を求めるわけじゃないけど幸福を望んじゃいけない時がある」「いつも時代は若者の夢を壊して流れてゆく」だった。  この曲が発表された頃は戦後三十数年。戦争に行った人がまだ多数いた頃だった。テレビで戦争について流れることも多かった頃だ。  「私は明日を信じない 今日がなければ明日は来ない」アリスはこの歌詞通り、今日に全力を注ぎ、病に倒れて行った頃でもある。 4. センチメンタル・ブルース  失恋して飲んだくれている男二人が愚痴を言い合い、逃げた女はあばずれと切り捨てんがら飲み明かすという曲。男ならよくわかる気持ちと行動で共感できる。 5. 5年目の手紙  別れて5年が経ったが忘れられない男性に手紙を出すか出さないか迷う細やかな女性の心の動きを歌い上げた曲。美しくていい曲だ。驚いたのは2009年のアリス再結成の時のライヴで選曲されたことだ。ベーヤンにはとても思い出深い曲なのだろう。 6.血の絆  母と子の強い絆を歌った曲。自分が親になって初めてこの歌詞に共感できるようになった。母の無条件の愛と、自立して巣立ってゆく子…。親孝行したい時に親は無し、という言葉を思い出す。  7.涙の誓い  『冬の稲妻』に続くヒット曲第二弾。この曲が発表された当初、歌詞の意味はよくわからず歌っていた。大人になってカラオケで歌詞を見ながら歌って歌詞の意味がわかって驚いた曲の一つ。「もう二度と消えない手首の傷あと」という歌詞から主人公が自殺未遂を図ったことがわかるが、恐ろしい修羅場の曲だ。 8.街路樹は知っていた  これも別れの曲だ。『冬の稲妻』のB面だったが、A面にしても十分な曲だ。 「街路樹はいつも見ていた」という部分に擬人法が巧みに使われた歌詞がいい。 9.ある日の午後  ベーヤンの高い声の曲だ。ベーヤンは太い男らしいボーカルとこの曲のようなハイトーンのボーカルと後年の演歌調のボーカルと多様な表現ができる。高い裏声だがまだ余裕があるのがすごい。  ある日の午後、発見した別れた恋人の写真。そこから思い出した切ない昔の出来事をベーヤンの美しい声と優しいメロディーで表現している。 10.何処へ  『涙の誓い』のB面だが、これもB面にしておくのは惜しい作品。後に、よりリズミカルにアレンジされてセルフカバーされるが、どちらのアレンジもすばらしい。この曲は、大晦日に除夜の鐘を聴くと、思い出す。歌詞にある「あー悲しいけれど今年も一つ年とってゆく」という部分からだろう。大晦日に一年を振り返るといつも、年初に立てた目標や夢がありながらもそれを実現できずに一年過ぎていることが多い。そんな時この曲のサビが頭の中に流れてくる。 11.フィーネ  『帰らざる日々』とよく似た状況の曲だ。あっちは最期の電話に相手が出たが、こちらはず~っと呼び出し音のままだ。それにしても『天才秀才バカ』をやっていた時の明るく 楽しい谷村新司と、こういう自殺をテーマにした曲を作る谷村新司が同じ人なのだろうか?