『高度1万メートルのエピデミック』(2009/09作品)(脚本協力 竹内亨)
依頼者:アメリカ大統領側近
ターゲット:副操縦士ネイサンと暗証番号リセットボタン
依頼金額:不明
狙撃場所:アメリカ・アンドリュース空軍基地近く
殺害人数:1人
カイロ発ニューヨーク行きアトランティス航空AT901便。
テロリスト達が天然痘をもとにした細菌兵器を作成し、白人女性リナットに注射し旅客機に乗り込ませた。彼女は機上で発症した。機長のクロフォードが様子を見に行った間に、コックピットに入るパスワードを、命が惜しいネイサンが変更した。
ネイサンは、コックピット内のショーンを殺し、航空保安官のドレイバーを返り討ちにする。
オバマ大統領はゴルゴ13に、ネイサンの射殺とコックピットに入るための暗証番号のリセットを依頼する。
ゴルゴ13は、高度1万メートル上空にいるF15からAT901便のコックピット内にいるネイサンを一発で射殺し、次の1発で暗証番号をリセットした。
クロフォードがコックピットに入り、機をアンドリュース空軍基地に無事着陸させた。
助からないとわかったリナットは、機内で発症するよう注射し自身からワクチンを作るよう遺言して息を引き取った。
細菌兵器を作ったテロリストが作った危機を、ゴルゴ13という別なテロリストが救ったのだ。
この頃は、パンデミックやエピデミックは劇画の世界の話だと思っていたが、新型コロナのパンデミックによって、現実のものとなってしまった。それにしてもゴルゴ13の冷静沈着な狙撃は凄い。
『甦る潜像』(2009/05作品)(脚本協力 ながいみちのり)
依頼者:CIA出身のゴードン議員
ターゲット:フィルムの抹消と現像された写真を見た者(新聞社社主ラウル)
依頼金額:不明
狙撃場所:チリ ベルヒカ社サウンドスタジオ
依頼者:ゴードン議員の不良息子の仲間の祖父
ターゲット:CIA出身のゴードン議員
依頼金額:不明
狙撃場所:アメリカ フロリダ
殺害人数:2人(新聞社社主ラウル、CIA出身のゴードン議員)
チリのアンデス山脈で氷づけの女性の遺体と彼女のものと思われるライカ・カメラが発見された。
彼女の名前はモニカ。1975年、ラウルは、チリのゲシュタポと呼ばれたチリ秘密警察DINAに所属しており、ビノチェトに反対する反体制派を摘発していた。CIAのゴードンはラウルを支援していた。ゴードンやラウルが反体制派を射殺するところをモニカは見てしまい、二人によって、アンデス山脈上空でヘリコプターから突き落とされた。
ラウルはモニカのフィルムに何が写っているか突き止めるためスタジオに忍び込む。
予想外に早くスタジオに来たルイスを射殺し、フィルムを現像する。そこにはラウルの顔が写らないようにDINAによる虐殺が撮影されていた。
ゴルゴ13によってラウルは射殺された。
ゴルゴ13は誰の依頼によってラウルを射殺したのだろう、と思ったところで、場面がアメリカ シカゴに変わり、息子のトムが自分の後継者の上院議員になった、年取ったゴードン上院議員が登場する。彼は、フィルムの抹消と現像された写真を見た者の始末を依頼する。
これでエンディングと思ったら、場面はフロリダになり、ゴルゴ13がゴードン議員に会う。依頼者に二度と会わないのがゴルゴ13のルールなのに・・・。
そして、「お前が、俺の標的になった、という事だ・・・・・お前と同じようにわが子が可愛い、と思っている親が居る・・・・とだけ、言っておこう。」と話して、ゴルゴ13が引き金を引く。
ストーリー展開の妙が冴える傑作だ。
『偽装依頼』(2010/04作品)(脚本協力 加久時丸)
依頼者:ニューヨーク・マフィアのボス ジャンデルカ・フェデーリ
ターゲット:チャイニーズ・マフィアのボス イーサン・タオ
依頼金額:不明(500万ドル以下)
依頼条件:謀殺とわからないこと
狙撃場所:ゴルフ場
ターゲット:元CIAランスフォード キャスティング・ディレクターのマダム・オブライエン
殺害人数:3人
元CIA職員ランスフォードとギャンブルでハリウッドを追われたキャスティング・ディレクターのマダム・オブライエン。この2人がニューヨーク・マフィアのボス ジャンデルカ・フェデーリそっくりの俳優を探し、役者のジェフ・モリアーティをフェデーリそっくりに仕立て上げゴルゴ13にイーサン・タオの殺害を依頼する。
ランスフォードとオブライエンは、本物のフェデーリから500万ドルを受け取り、ゴルゴ13に偽装の発注をすることで、儲けようとしていたのだ。
ゴルゴ13は、イーサン・タオをボウガンを使って殺害するが、フェデーリの指先がヒポクラテス爪なのが気になり、自分が会ったフェデーリがニセモノと知る。
そして、ゴルゴ13への依頼のルールを破ったランスフォードとオブライエンを射殺する。目撃者になったモリアーティもゴルゴ13のルールなら射殺すると思うが、彼にはフェデーリに金を返すことを命じて生かして返した。
モリアーティは金を返さず持ち逃げするが、発信器がついていたのですぐにフェデーリの部下に見つかり殺されてしまった。
ゴルゴ13はなぜモリアーティをその場で射殺しなかったのだろうか?
マフィアに任せてもいい、と思ったからか?
彼が自分自身のルールを破った例と言える。
それにしても、命が惜しければ、ゴルゴ13のルールには逆らわないことだ。