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白土三平・岡本鉄二『カムイ伝 第二部 1』(小学館)(1989/10/01)


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●猿山〔一〕

  明歴二年日置藩では藩内紛争及び領内騒動処置よろしからずよって領地没収改易となる・・・。日置城は廃城となりただ風雪に朽ちてゆくのみだった・・・

 

[感想]

  明歴という年号は・・・ない。明暦という年号はあるが、1656年だ。第一部が寛文二年(1662)で終わったので、明暦だと時計の針が戻ってしまう。架空の年号明歴を作ったのだろうか?

 カミナリ

  ニホンザルの社会が登場する。四番目の地位にいる歯ッカケに対してボス猿カミナリが怒って、マウンティングする。この群れのボスはカミナリだ。第二位がダルマ。第三位がキズ。第四位が歯ッカケだ。

  ワシに襲われた子猿を助けるために歯ッカケは戦い怪我を負う。ワシは追われて獲物を持たずに飛び去った。

  孤猿が群れのそばに現れ、怪我が癒えぬ歯ッカケが負け、ダルマとキズはカワセミの落とした糞に一瞬気をとられたスキに負けた。カミナリと孤猿の戦いが始まろうとしたとき、孤猿は悠々と去って行った。

 

 孤猿

  孤猿は頭から背中にかけて伸びた毛からタテガミと呼ぶ。

  タテガミはカミナリの群れからつかず離れずの距離を保つ。

  カミナリの群れの赤子が殺された。母猿は悲しみのあまり赤子の死体を手放せない。死体が腐ってきて群れから追放された。その後、彼女も死体で見つかった。

  人間の男女がおにぎりを食べ、性行する。おにぎりが地面に落ちて転がる。それを見つけた小猿から横取りしようと別な猿が来たのをタテガミが追い払う。タテガミは蛇から小猿を守るなど二匹の不思議な関係が始まった。

 

 伏兵

  カミナリの群れの雄達がタテガミを追跡する。タテガミは巧妙に行動して猿達を野犬の群れの中に追い込んだ。野犬と猿達の戦いにタテガミが猿の助っ人として参戦し野犬のボスの目を潰し、猿が勝利する。

  タテガミはカミナリの群れに入ろうとせずこれまで通りの距離感を保つ。

 

 旅立ち

  タテガミと仔猿が群れから離れて旅立った。狐の姉弟は母から巣立ちを強制されて旅立った。狐の姉と弟も離れ、タテガミと仔猿と狐の弟の三匹の奇妙な共同生活が始まった。

  川漁をするのは抜忍のカムイだった。この不思議な三匹に目を留めてしまうほどだった。

 

  タテガミを執拗に追う野犬がタテガミ達を追い詰めた。狐は木登りできないため野犬に殺され、その間にタテガミと仔猿は逃げた。

  しかし野犬は執拗にタテガミ達を追いかける。絶対絶命の危機にカミナリが助太刀した。野犬のボスはタテガミに殺され、カミナリとの戦いに敗れた野犬たちは去った。

  タテガミとカミナリには何か友情のようなものがあったのだろう。

  タテガミは群れに加わらず去った。カミナリはそれを見送った。

 

 恋鳴き

  発情期を迎えた猿の群れ。カミナリは不在で、若猿のホクロは歯ッカケに挑むも敗退。しつこく歯ッカケに攻撃をしたら三番目のリーダーのキズだった。動転したホクロは二番目のリーダーダルマにも牙をむき、コテンパンにされてしまった。

  この群れに流れ者の猿三匹が近づいていた。若猿のホクロ、四番目のリーダーである歯ッカケの所を通り過ぎダルマとキズがいる群の中心に向かう。

  群れのメスに三匹は受けいれられた。しかし歯ッカケと三匹は対決し、歯ッカケが敗北寸前のときカミナリが帰ってきた。歯ッカケが三匹に反撃したがカミナリは歯ッカケに助太刀しないため歯ッカケは三匹の反撃で瀕死の状態になる。

  歯ッカケをホクロが執拗に追いかけた。その時激しい地震が襲い、瓦礫にうもれた一匹の猿の死体は歯ッカケかホクロか区別がつかなかった。

 

 逃げ水

  日置領代官所で錦丹波と稲富一心が話している。地震の後の豪雨が心配だ。

  代官所の者達が巡察に出る。堰を守るために荒れ地に水を逃がしたときに武士達は巻き込まれる。百姓が錦丹波達を助ける。

  地震で崩れた山奥で歯ッカケらしき左手のない猿が息を吹き返した。

  日置城にホクロがキズが、ダルマが戻って来た。そしてカミナリも。

 

 

[感想]

 いよいよ第二部が始まった。猿の群れが登場する。第一部の登場人物達のうち、抜忍カムイが登場する。代官錦丹波も登場する。その他の人物達はまだ現れない。夢屋七兵衛は?スダレ(苔丸)は?笹一角(草加竜之進)は?橘玄蕃と橘一馬は?そして正助は?

続きが楽しみだ。