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アリスⅠ

アリスⅠ  1972年発売のアリス最初の記念すべきアルバム。ということは、来年(2012年)で発売40周年だ。  今改めて聴いてみると、疑問符だらけのアルバム。  アリスの方向性が全く見えないし、アマチュアというか素人が作ったのではないかという統一性のなさだ。谷村新司はロックキャンディーズ時代にアルバムを出しているのに、この後退は何なのだろう?「東芝EMIの人達もよくこのアルバムにOKを出したなぁ。」と思う。少女趣味っぽい「アリスの飛行船」や「ティンカベル」「ブラウンおじさん」。ビートのきいた「何も言わずに」「明日への讃歌」。優しいラブ・ソングの「冬が終わって・・・」「好きじゃないってさ」。これだけ種々雑多に集めたアルバムも無いだろう。  ジャケットを単体で作品として見ると、白い背景に、羽ペンと"Alice Ⅰ"というシンプルなデザインは美しい。しかし、3人の顔がないのでレコード店でこのレコードを手に取っただけの人はまず買わなかっただろう。一体どんな人達のどんな曲が入っているのか、ジャケットだけではわからない。デビュー・アルバムとしては、マーケティング上問題だろう。  曲を紹介すると・・・  1.アリスの飛行船 記念すべきアリスのアルバム最初の一曲目!「子供向けのおとぎ話か?」と思わせる歌詞・・・。アリスの飛行船(方向性)はどこに向かうのか?  2.冬が終わって・・・ 失恋した冬が終わって、希望の春が来た・・・。後の『秋止符』と同じテーマの曲だ。静かな曲だが、どこか明るい希望を感じさせる曲である。  3.ティンカベル これもおとぎ話チックなタイトル。『ピーター・パン』に登場するティンカーベルを歌った歌。  4.羊飼いの唄 ライヴで、堀内孝雄が、ロック調にアレンジして歌っているが、オリジナルは静かな曲。何で「羊飼い?」と疑問を抱かせるが、アリスによる自称「隠れた名曲」の一つ。  5.何も言わずに 「いったい何が起こるのだろう?」と思わせる出だしや、途中から曲調が大きく変わるサビの部分。この曲とアレンジは、このアルバムで一番好きだ。詞を変えてもう少しアレンジを変えて、生き返らせて欲しい名曲だと思う。  6.木枯らしの街 リズムが良くていい曲なのだが、何か中途半端な、未完成な感じがする曲。  7.ブラウンおじさん ライヴで谷村新司が、演歌調にアレンジして歌っているが、オリジナルは、「羊飼いの唄」の続編のような穏やか自称「隠れた名曲」の一つ。  8.ティータイム 本当にただのおしゃべり。録音もよくないし、なにを言っているのか聞き取れない。アリスのライヴの良さは確かにおしゃべりだから、それが生きるようなテーマを持ってある程度のシナリオを作っていい録音で録音すべきだった、と思う。  9.好きじゃないってさ ちょっとした日常の断片を切り取ったアリスらしいラブソング。  10.移りゆく時の流れに 後年のアリスのバラードに通じる曲。アリスのオリジナル・アルバムは、アルバムの最後にスケールの大きなバラードが置かれることが多いが、その起源はここにあった。  11.明日への讃歌 初期アリスの代表曲。今でもいろいろアレンジされて歌い継がれている名曲。2本のギターとツインボーカルインパクトあるパーカッション。アルバムの最後にきてようやくアリスサウンドが姿を見せた。  このアルバム発表時には私はもちろん知らなかった。アリスがブレイクしてから買ったアルバム。シンプルなジャケットの美しさが一番印象に残っている。