■夏川 草介
■神様のカルテ 2
■出版社: 小学館 (2010/9/28)
■ISBN-10: 4093862869
■ISBN-13: 978-4093862868
■発売日: 2010/9/28
前作よりもずっと読みやすくなったのは、作者の成長の証しだろう。
患者の、医師に対する期待の大きさと、それに応えるために身を削り命を削る医師達。医療現場の深刻な矛盾点がさりげなく淡々と描かれている。本来は、制度として、整備されなければいけない部分だろうが、本書は小説だから、そういうことは何も言っていない。
むしろ、困難な現場の中で、人間らしく、楽しさを見つけながら、どうにかして生きていこうとする人々を描いている。
考えてみれば、人類の歴史が始まってからほんの150年前まで、人生はどこでもそうだったのかもしれない。病気や事故や天災などの死の恐怖が身近にあるのが当たり前で、そんななかで楽しさを自分で見つけながら、人生について自分で解釈しながら、生きてきたのだろう。生や死が日常から切り離された昨今では考えることが無くなったことだが、本書を読んであらためてそんなことを感じた。