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白土三平『カムイ伝20 勁叢の巻』(小学館)(1971/05/10)


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もくじはこちら

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第一章 その後〔一〕

 その後

  日置郡、望月郡の一揆は一揆勢の勝利に終わった。しかしその後の取り締まりは熾烈だった。

  取り締まる非人の弥助は、横目に反抗する。横目は弥助を殺す。怒ったキギスと横目が戦い、横目はキギスに殺される。横目の最期の言葉は「サエサはお前の妹だ。」だった。

  ナナは産気づいて女の子を産む。

  キギスは自身の手で父親横目を殺したことに激しく動揺する。そこに江戸勧進頭の仁太夫が現れ横目の後継者としてキギスを任命する。仁太夫はカムイが生きていることを伝える。やはり仁太夫はタブテのようだ。仁太夫は肯定しないが否定しなかった。

  松林剣風と水無月右近はともに愛する者を守れなかったことに落胆していた。正助やゴンや竹間沢の庄屋たちが自首して捕まったことを知った二人は、正助たちを助けるために馬に乗って走り出し、正助達を護送する行列に斬り込む。しかし百姓達は逃げなかった。水無月右近も松林剣風も武士達によって殺された。時に寛文元年(1661)十二月末だっ。

  笹一角(草加竜之進)と木の間党の面々は逃亡しようとしていたとき、橘玄蕃と橘一馬と出会ってしまった。木の間党の武士達は橘玄蕃と橘一馬に斬り殺された。笹一角(草加竜之進)との三度目の対決が始まった。

  

[感想]

 一揆が成功したのに一揆首謀者には厳しい取締りが待っているとは何と理不尽なのだろう。ヨーロッパやアメリカなら革命になり勝者が政権を握ると思うが日本の江戸時代の一揆では政権を握ろうとしないのはなぜだろう?この辺りが日本史の不思議な所であり、一揆の限界なのかもしれない。

 

第二章 その後〔二〕

 その後

  場面は橘玄蕃、橘一馬対笹一角(草加竜之進)の戦いになる。橘一馬と笹一角は互角だった。笹一角は突破くずしも見せる。笹一角は、橘玄蕃の両脚を切断し、橘一馬の左腿に長刀を突き刺す。玄蕃にとどめを刺そうとした竜之進は、赤目の言葉「おのれの一生の最後、おのれの目で見届けい」を思い出す。そして「おぬしらの師はせっしゃの師でもあった」と言って去った。

  小六は、直訴状を懐にした話しかけたダンズリに「おれは気ちがいだ」と答える。

  寛文二年一月。勘定方留役石渡源之進、玉城五郎太らによって厳しい取り調べが行われていた。百姓達は厳しい責めにも音をあげず、すべては江戸の白州で話すの一点張りだ。

  イタミ屋は隠れ家で酒と女遊びに明け暮れていた。日の市(赤目)はイタミ屋に逃がしてやる、と言うが、イタミ屋は断り、その甘っちょろいところは命取りになる、と警告する。

  赤目を狙ってカムイに化けた忍者が襲ってきたが、なんなく仕留める。

  

[感想]

 厳しい拷問に耐える正助達百姓。理不尽でひどい。

 

第三章 大白州

 大白州

  日置領の取り調べは厳しく女子どもも容赦なくつかまり拷問されていた。密告屋のシブタレもスパイとして捕まった。二条獄舎に百数十人が送られた。そして三十人余りが拷問で死んだ。責役同心鬼の木島もお手上げだった。

  牢内では百姓達が何としても江戸に行く、と決意を語り合っていた。田の下のご隠居がシブタレに、彼の父を密告した一人が自分だ、と告白して死んだ。

  ゴンが拷問道具を破壊しひと暴れして壮絶な最期を遂げた。

  シブタレは「イタミ屋を捕まえたか?」と役人にきき、「じきに江戸からきつい指示がくるぞ」と役人を脅す。それを見ていた赤目をサエサが襲ったが返り討ちにあった。

  錦丹波は、自分は見分役の輪島修理の安全を守ろうとしただけで、見分をやると判断したのは輪島修理だ、と京都所司代の評定所で答える。

  輪島修理は勘定奉行の命令に従っただけだ、と答える。

  錦丹波に役人が一揆再発のおそれがあるかないか質問する。錦丹波は二人を治安の悪い中州の溜場に連れて行き襲ってくる悪人達を一網打尽にし、一揆はこんなものではない、と言う。

  二人は江戸に早馬を出そうとしたが、日置から一揆再発らしいとの知らせが来た。警備役頭の与力、相沢が行方不明とのことだ。

 

[感想]

 あまりにも理不尽な一揆後の取り締まりと取り調べだ。この後どうなるか次巻はいよいよ最終巻だ。楽しみだ。